借金が返済できなくなってしまった人を救済する自己破産

消費者金融などからお金を借り、その額が返済できないくらいに膨らんでしまう人がいます。複数の貸金業者から借金をするなど多重債務に陥ってしまう人も決して少なくはありません。そういった借金に苦しむ人を救済する制度に債務整理があります。

債務整理の1つである自己破産

自己破産は借金で苦しむ人を救済する制度である債務整理の1つです。債務者が自ら裁判所に申告する手続きで、破産手続きが行われます。破産手続きは債務者の財産を処分して債権者に公平に分配する手続きです。それと同時に免責手続きも行われ、裁判所の許可を得て免責されると借金の返済義務は全てなくなります。

債務者が自ら申告する自己破産

自己破産とは、抱えている借金を減額してもらったり帳消しにしてもらう債務整理の手続きの1つになります。債務整理は借金に苦しむ人を救済する制度で、債務整理の方法にはその他にも任意整理・個人再生・特別調停などがあります。債務整理の手続きの中でも自己破産は、最終手段とされています。借金を返済できる見込みが全く立たない時に行うものです。借りているお金の額が多額で、収入ではとても返済しきれないという場合もあります。また、リストラなどで職を失っていて、返済の目途が立たないということもあるようです。裁判所に破産状態にあることを申告し、認めてもらうことで借金の返済が免除されるのが自己破産になります。そのため破産手続きは、裁判所に破産開始手続きの申し立てを行うことで始まります。お金を貸している側の債権者が申し立てを行う場合もありますし、お金を借りている債務者が行う場合もあります。この時、債務者が申し立てを行うのが自己破産になります。自己破産をすることで、借金漬けの生活から逃れることができます。厳しい取り立てにあっていた場合にも取り立てをストップさせられます。

破産手続きとは何か?

そもそも破産手続きとは、破産した人の財産を処分して得られた金銭を債権者に公平に分配する手続きのことをいいます。破産法という法律で規定されているので、それに則って財産を処分することになります。しかし、破産を申告するということは、財産がほとんどない状態といっても過言ではありません。財産よりも債務の方が大きい状態にあるのが普通です。破産手続きでは、破産者の財産を処分しても足りない分の借金について何かをするわけではありません。その分の支払い義務を免除するかどうかは、免責手続きという別の方法で判断されることになります。免責手続きを経て、それが許可されることで初めて借金の支払い義務がなくなるのです。自己破産を行う目的は、裁判所からこの免責を得ることにあるでしょう。申告したからといって全ての支払いが免除されるわけではなく、借金の理由によっては免除されないこともあります。また、破産手続きと免責手続きは全く別のものですが、通常は同時に進められます。ただし、気を付けたいのは免除されない債務もあることです。税金や国民健康保険料などは該当しないので、免責されたとしても支払う必要があります。

自己破産にはメリットはある?

自己破産の最大のメリットには、借金の支払い義務がなくなることが挙げられます。それから貸金業者や債権回収会社などから厳しい取り立てにあっている場合にも、取り立てをストップさせることができます。心の平安を取り戻すのに役立ちます。

支払い義務が免除される

自己破産をする最大のメリットは、何といっても免責手続きをすることで借金の支払い義務がなくなることです。多額の借金を抱えていると、収入があっても支払いに消えてしまい通常の生活もままならなくなってしまうことがあります。近年は消費者金融に借金をインターネットから申し込めたり、クレジットカードを利用するなど手軽にお金を借りることができます。生活費に少しお金がかかりすぎたなどちょっとした理由で利用することも多く、毎日の生活費の不足を補っているうちに複数の消費者金融から借金をする多重債務に陥っていることも決して珍しいことではありません。ストレスフルの現代社会の中で、買い物依存症に陥ってしまう人もいます。そういった人達の経済的な救済を図るのが自己破産の制度です。支払い義務が全てなくなることで、生活を再建することができます。全国的に見ると自己破産の件数は、毎年7万件以上にものぼっています。多くの人がこの制度を利用しており、債務整理の方法として非常に有効です。債務整理には任意整理や個人再生などもありますが、収入を大幅に借金が上回っていたり収入がない場合には自己破産をするのがいいかもしれません。

厳しい取り立てから逃れられる

多額の借金を抱えていると、消費者金融などの貸金業者や債権回収業者から厳しい取り立てにあうこともあります。早朝や深夜などにも関わらず電話が鳴り続けたり、大きな声で怒鳴られるといった借金の取り立てで心が疲弊してしまうことも多いようです。自分だけではなく、配偶者や家族などがそういた事態に巻き込まれてしまうこともあります。最悪の場合には、人生を悲観して自殺してしまう人もいます。自己破産をするメリットには、そのような消費者金融や債権回収会社からの取り立てをストップさせられることがあります。債務整理の手続きを開始したことを相手に通知するだけで、取り立てに合うことはなくなります。自分で破産手続きをしたり、債権回収会社に通知したりするのは難しいので、そういった時には弁護士や司法書士など専門家に依頼するのがおすすめです。法テラスや消費者生活センター、各自治体の相談窓口などにも借金問題は相談することができます。厳しい取り立てにあっていると心身共に疲れ切ってしまうので正常な判断ができなくなります。そういった事態を避けるためにも、早めに誰かに相談するようにしましょう。

自己破産のデメリットは?

自己破産のデメリットには、財産を処分しなければいけないことや破産手続き中に制限される事柄が色々あることが挙げられます。ただし、全ての財産を処分しなければいけないわけではなく、必要最低限の財産は残しておくことができます。

財産は処分しなければいけない

自己破産をすると、当然ですが所有している財産は処分しなければなりません。処分して得られた金銭は、債権者に分配されることになるからです。自宅を所有している場合などには手離す必要が生じる事もあります。ただし、自己破産について誤解している人も多いですが、全ての財産を手放さないといけないわけではありません。生活に必要となる最低限の財産は残しても良いとされています。全く何も無くなったのでは生活できませんから、家具・家電・パソコンなども1台は残すことができます。自己破産を検討するまで生活が追い込まれている状態だと、財産が残っていることはあまり多くはないでしょう。売れるものがあるならそれを売却すればいいだけなので、財産を失ってしまうことを心配する必要はあまりないかもしれません。それから自己破産をすると信用情報機関に情報が登録されてしまうので、消費者金融から新たな借り入れを行ったりクレジットカードを作成したりすることはできなくなります。いわゆるブラックリストに載ってしまうのです。住宅ローンを組んだり、車のローンを組んだりすることも難しくなります。

破産手続き中に制限がある

破産手続き中には、様々な制限があります。まず、郵便物は全て破産管財人に送られることになっているので、自分が直接受け取ることはできません。手続き中に引越しをする場合や長期出張に行かなければならない場合、旅行などに行く場合には、裁判所の許可を得る必要もあります。それから破産手続き中には、制限される資格が存在します。弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・宅地建物取引主任者などの資格になります。その他にも後見人や保佐人、遺言執行者などの地位についてもつくことはできなくなります。しかし、自己破産したからといって永久に資格を失ってしまうわけではありません。破産手続きが終了して免責が決定されれば、資格の制限はなくなります。破産手続き中は不自由に感じるかもしれませんが、破産手続き中の間のことなのでさほど心配しなくても大丈夫です。制限されている状態が何年も続くわけではありません。また、自己破産を行うと官報に名前が載ってしまうというデメリットもあります。自己破産を実際に検討している際には、メリットだけではなくデメリットも含めて考えることが重要です。

自己破産の手続きの流れ

自己破産の手続きの流れとしては、管轄する地方裁判所に申し立てを行います。処分する財産が残っている場合には管財手続き、財産が残っていない時は同時廃止手続きとなります。管財手続きの場合には債権者集会が行われ、免責審問の後に許可・不許可が決定します。同時廃止手続の場合は、破産手続き開始から免責審問となります。

管財手続と同時廃止手続の違い

破産手続きの基本的な流れとしては、まず裁判所に申告すると破産管財人を選任されることになります。破産管財人が破産者の財産を調査したり、処分したりして得た金銭を債権者に分配します。このような方法は、管財手続きと呼ばれています。しかし、自己破産を検討している段階で、すでに財産がほんの少しも残っていないという状態のこともあります。破産管財人に報酬を支払う必要がありますが、その資金も出せない状態の人もいます。そういった時は破産管財人を選任する意味がないので、同時廃止手続きというものを行います。これは破産開始と同時に破産手続きを廃止するものです。破産管財人が専任されることはありません。管財手続きと比較すると、同時廃止手続きの方が必要になる期間は短くて済みます。また、必要な費用も少なくて済むというメリットもあります。自己破産を申し立てる時はお金がなくて大変な場合がほとんどなので、破産手続きの費用というのも馬鹿にはなりません。自己破産をする際には、財産を処分する必要があるのかや同時廃止手続きでいいのかなどシミュレーションしておく必要があります。

手続きの具体的な流れ

自己破産を行うためには、まず管轄している地方裁判所に破産開始手続きの申請と免責の申し立てを行います。裁判所に破産開始手続・免責許可の申立書を提出するのです。裁判所がそれを受理してくれたら、内容の審査が終了するのを待ちます。必要な要件が満たされている時には、破産開始が決定されることになります。管財手続きになるのか同時廃止手続きになるのかもここで決まります。同時廃止手続きとなった時には、後は免責されるかどうかが焦点となります。破産手続き開始及び廃止から2か月から3か月経つと、裁判所で免責審問が行われます。これは裁判所で借金の支払い義務を免除するかどうかを検討するためのもので、破産者は出頭しなければなりません。そして、免責が許可されるか不許可になるかの審判が下ります。管財手続きの場合には、破産管財人が専任されて財産の調査や処分が行われることになります。破産手続き開始から3〜4か月後に債権者集会が行われるので、破産者も出頭する必要があります。債権者集会は1回とは限らず、何回も開かれることもあります。その後審問があり、許可・不許可が決定します。

まとめ

自己破産とは債務整理の手続きの1つで、債務者が自ら裁判所に申し立てを行います。自己破産には全ての借金の支払い義務が消滅するというメリットがありますが、財産は必要最低限のもの以外は処分しなければなりません。また、厳しい取り立てを受けている場合にもそれをストップさせることができます。

関連記事

  1. 自己破産は新しい人生を作るきっかけにできます

  2. 自己破産をする時に知っておきたい管財事件と引継予納金

  3. 自己破産をすることで家族への影響はあるのか

  4. 自己破産における少額管財はどの様な時に利用されるか

  5. 借金が返済できなくなってしまった人を救済する自己破産

  6. 自己破産した後の暮らしはどうなるのかをわかりやすく