自己破産を理解するなら破産法を知っておくべき

自己破産は借金で困っている人に再生の機会を与えることができるシステムです。その詳細は破産法と呼ばれる法律で規定されています。どのような手続きで、何に注意しなければならないかは法令の中をしっかりと理解しておく必要があります。

破産法の概要を理解する

破産法の現在有効なものは平成16年に成立していて、倒産法の体系の中の一つとして存在しています。つまり破産は、倒産手続きの一つで清算型に分類されるものです。大まかな内容としては、破産の手続や個人が破産するときの免責手続などが決められています。

破産法が制定された目的

法律は第1条に目的が書かれています。そこを見ることで、どのような人を対象として何をするためのものかがわかります。破産法の目的には債務者が財産を適正に、そして公平に清算することができるようにすることと経済生活の再生をする機会を与えることをとなっています。

そして、支払ができないか債務が超過している債務者が財産を清算するための手続を定めることも目的の一つとしています。手続きがしっかりと決まっていることで、債権者やその利害関係者の利害と債権者と債務者との間の権利関係が適切に調整されるので理不尽な結果にならないようにすることができます。

この法律がないとどのように手続きをして良いのかわからないことになったり、債権者と債務者の立場が不安定になり、どちらかが不利益を被るようになります。適切な処理が行われることで債権者が再生できる機会が失われないですみます。破産法は債務者にとって有利なように思われますが、実際には両者にとって妥協できる落とし所に落ち着けることが可能です。それは表面上で判断するのではなく、規定されている内容をしっかりと理解するとわかってきます。

破産法で規定されている用語

法律には色々な用語が使われています。意味がわからないような言葉もありますが、実際にはそのままの意味ではない場合もあります。そのため定義と書かれている条項を確認することが必要です。例えば「破産手続」とは、債務者の相続や信託、その他の財産を清算することとなっています。つまり財産をなくすと言うことです。

「支払不能」と言う言葉にも定義があります。ただ支払えないと言うだけではなく、弁済しなければならない状態にあるものを普通に継続して行えない状態のことを言います。この言葉があるからこそ、自己破産が全財産を失うことではなく、弁済中のものを弁済できない状態であるだけで成立する状況です。生活に必要な財産は省いて支払えるかどうかを考えれば良いと言うことになります。

全財産を取り上げられなければ、最低限の生活を続けることも再生することも可能になります。この法律が債務者にとって、希望を失わずにもう一度やり直せるような内容です。その代わり、支払い不能になっていない間は弁済が必要なので債権者にとっても不利にならないようにもしています。両者がお互いに譲り合うような状況です。

保全管理人と破産財団

破産法にはいろいろな役割を持つ人が出てきます。メインとなるのは破産者、つまり債務者のことですが、それ以外にも保全管理人や破産管財人などのキーワードがあります。これらは自己破産を知る上では重要な役割があります。

保全管理人の役割と責任

保全管理人は破産法だけに限らず、他の法律にも定義されています。基本的には財産を保全するための責任を負う人です。自己破産などの破産手続きでは裁判所から保全管理命令が出されます。これは債務者が不当に財産を処分したりしないように管理することが目的です。

破産手続きは債務者が好きにできるわけではありません。法律に規定された手続きに従って処理されなければいけません。だから適切に取り扱うために適任者をその管理に当てます。それが保全管理人です。

自己破産の場合の保全管理人は、基本的に1人ですが、法人の破産となると複数の人が指名されることがあります。また場合によっては法人がなる場合にあります。財産の量によって適当と思われる人が割り当てられるようになります。債務者はその後勝手に処理することができなくなり、管理人の指示のもとで財産を扱わなければならなくなります。

責任としては、手続き当時からの財産を引き続き維持することです。清算する時まで大切に保管をすることが求められています。どちらかと言うと債権者に対する信用のために働いていることが多いことになります。

聞きなれない破産管財人

自己破産をする時には破産管財人と言う言葉を聞くことになります。債務者の保有する財産は、自己破産が始まると破産財団と言われるようになります。破産管財人は破産財産の管理や処分を行う権利を持っている人のことです。処分を行うので、債権者に支払うために財産を得ることを目的としています。

債務者が生活を送ることができる分を残して、財産の処分を行います。少しでも価値のあるものを弁済に回せるようにすることが責任になります。債権者がたくさんいる時に配分するのも大切な責任になります。

破産管財人は債務者への聞き取りなどによって財産を確定していきます。債務者が生活できる最低限の財産を残して、返済に回します。ここでしっかりと現金化できないと債権者が不利になるので、全ての財産を確認することが重要です。聞き取りや調査によって判明した財産を処理します。

そのほかにも、債務者がギャンブルに依存しているかどうかや浪費グセがあるなどを確認します。これらの状況では自己破産することが再生につながらないようなケースに該当するかも調査する役割があります。最終的には裁判所に報告することで、免責などを決定させる証拠集めも重要な役割になります。

破産法があることで安心できる

債務者にとっては返済できない状況が続くことがとても負担位なります。債権者にとっては、弁済がしてもらえないことがデメリットにつながります。この二つを解決することはできませんが、それぞれが公平になるように調整することが破産法の真の目的です。

複数の債権者に対する交通整理

破産管財人の仕事に財産の分配の決定があります。借金をする時には気がつきませんが、自転車操業を続けてしまうと債務ばかりが増えてしまいます。個人の債務者にとって複数の債権者がいることになります。この場合、法律では支払不能な分だけを自己破産すると言う考え方もあります。

法律が規定しているのは、債権に対して支払不能な状態かどうかです。そのため多額の借金のところは支払うことができないかもしれませんが、少額のところなら返済可能かもしれません、だからそれぞれに申し立てをすることが可能です。

複数の債権に対して自己破産する時には、それぞれに現金化した財産が分配されます。通常は、借金の額が多い方が多く返済されるような分配方法を考えます。破産者が再生しやすいように調整することもあります。この法律がないと、債権者は力があるものが返済を強要することとなり、債権者同士でも公平性が保てなくなります。つまり借金を中心に関係する人が公平に扱われるのが、この法律の目的の一つです。規定されている通りの処理は争いを発生させません。誰も極端な不利益が発生しなようにできます。

取り立てがなくなり精神的に安定

債務者が最も恐れるのが取り立てです。返せない状況なのに返済を強要される日々は今日増えしかありません。破産手続きが開始されると、取り立てを中断させることが可能です。それだけでも精神的な安定が得られるはずです。

債権者も法律を違反することは避けたいはずなので、無理な取り立ては行われなくなります。順法の意識が高いわけではない場合でも、決められた手続きを進めるうちは取り立ては中断しなければいけません。

また、最低限の財産が保護されます。再生を目的とする破産法では、財産全てを没取するようなことはありません。債権者の取り立てでは、全てを出すように強要されることもあるかもしれませんが、法律による手続きが開始されると、それはできなくなります。

債権者にとても振りなことばかりではありません。支払不能の債務者にいくら取り立てても支払を期待することは難しい状況です。いつまでも返済がないようではお金が回収できません。自己破産すると債務者の財産が分配されるので、全額ではありませんが支払いを得ることができます。いつまでたっても全く返済されないよりも、少しでも返ってきた方が安心です。

法律に規定される破産の手続き

自己破産するための手続きは破産法に規定されています。条件が合致し、手続きが適切に完了することで、債権が放棄されます。この言葉だけだと簡単に聞こえるかもしれませんが、実際にはかなり色々な手続きが必要になります。

自己破産の最初は裁判所に申告

自己破産をする時には、裁判所が進捗を握ります。まずはじめに債務者が申し立てを行います。外部から決めるものではなく、自分の意思で申し立てをする必要があります。受理した裁判所は債務者から話を聞いて、支払不能かどうかを判断します。

実際に無理そうだと判断した場合には破産手続開始決定を行います。これが本当の自己破産の開始になります。決定と同時に破産管財人を選任して、保有している財産をできる限り明確にしなければいけません。明確になった財産は、必要な分を残して現金化されます。

現金化された費用は債権者に分配されて、返済を完了することになります。債権者は一人とは限らないので、適切に分配されるためにはそれなりの力量が求められます。自己破産については他の省庁ではなく裁判所が管轄しています。

裁判所は債権者にも債務者にも公平になるように判断しなければならないとされています。どちらか一方が徳をしないようにするには、適切な調査が必要になります。債権者の利益確保と債務者の再生がこの法律の目的であり、それが実施できるようにわかりやすい手続きが規定されています。

自己破産と免疫手続きの違い

財産と言っても様々な種類のものがあります。生活に必要なものや仕事に使うものなど状況や立場によっても変わってきます。自己破産では一定の財産であれば残すことが可能です。例えば金額による要件として規定されるのは99万円以内です。

生活や仕事に使うものについては、免責が認められる場合があります。これは最低限の生活を維持するためや生活を再生させるために必要な分があります。このような費用を得るために必要な仕事の道具を奪うわけにはいきません。

生活に必要なものは大体わかりますが、仕事であればなかなか判別するのは難しいと言えます。そのため破産管財人は債務者とたくさん話すことで情報を聞き出し、財産をなるべく多く現金化することがとても重要です。贅沢品か必需品かを見極める力が必要です。

そして現金化した後でも生活を続けられることも確実にする必要があります。免責手続きはそのような現金化しない財産を保護する手続きです。自己破産でも必要なものは手元に残すことができます。ただし、虚偽により免責してしまうと、公平性がなくなり問題になります。適切に処理が行われる必要があります。

まとめ

自己破産は決められた手続きによって、専門の担当がサポートする中で行われる必要があります。その詳細を確認できるのが破産法です。法律違反を問うよりも関係する人々が不当に不利益を被らないようにすることが目的で、しっかりと実施されています。

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