自己破産は債務整理の中でも債務がゼロになるなどの特徴があります。自己破産の手続きは地方裁判所に対して破産申し立てを行い、それを受理して貰うと手続きが始まるのですが、受理後に破産の判決が下される同時廃止と管財人事件の2種類があります。
そもそも自己破産手続きとは?
自己破産と聞くと全財産を失うイメージを持つ人も多いかと思われますが、自由財産と呼ぶものは手元に残すことができる債務整理の一つです。地方裁判所を利用するのが特徴で、弁護士に依頼を行った場合代理人をつとめて貰えます。
自己破産はできないこともある
自己破産は簡単に言うと、借金すべてがゼロになる債務の支払い義務がなくなる債務整理の手法の一つです。借金問題を抱える人の中にはギャンブルが大好きで借金を抱える人も多いようですし、高額なブランド品を買い込んでしまい、これが原因で借金返済ができなくなることも多くなっています。ギャンブルや浪費が原因で借金を抱えている場合、自己破産の手続きができないケースも多いと言われています。これは言い換えるとギャンブルもしくは浪費は破産の許可が下りないわけです。但し、自己破産の体験談の中には浪費が原因で作った人が破産手続きを行い、破産が成立したケースもゼロではありませんので、その判断は裁判所に任されているのではないでしょうか。自己破産の手続きは2つの申し立てにより構成が行われているのが特徴です。1つ目は破産手続き開始、2つ目は免責許可と呼びます。破産手続き開始を通過できても破産が成立しない、いわゆる免責不許可事由になると破産は成立しません。そのため、破産が成立するのか、それとも成立しないのかが決まるわけです。許可の可否は判断材料として免責審尋と呼ぶ裁判官との面接が行われるのが特徴です。
自己破産の流れについて
自己破産をする人は弁護士もしくは司法書士などの法律の専門家から勧められた人々です。債務整理には個人再生や任意整理などの方法もありますが、これらの債務整理は返済能力が残されている場合に有効な手段であり、返済能力がないなどの判断の中では自己破産が有力のようです。自己破産は最初に裁判所に対して破産申し立てを行う必要がありますが、申し立てを行う時には色々な書類を用意しなければなりません。また、弁護士側も債務者の破産申し立てにおいては色々な質問を行い、書類を作成するなど時間や手間がかかることになります。自己破産の中で注意を要することは保有財産を隠さずに申告する点です。仮に、財産を隠して破産手続きを始めると破産管財人が調査した際に発覚する、これは詐欺破産罪と呼ぶ罪に問われることになりますので隠ぺいは許されません。破産申し立てを行うと裁判所は書類の内容をチェックしますが、この時同時廃止になることもあります。同時廃止にならない場合は裁判所内の弁護士を指名して破産管財人を任命します。破産管財人は財産の調査から管理、債権者への配当までを行う役割を持ちます。
自己破産は司法書士にも依頼可能
自己破産は弁護士だけでなく、司法書士に依頼することもできます。しかし、司法書士は地方裁判所での代理業務を行うことはできませんので書類作成のみの代行になります。主な手続きやその他の業務は債務者自らが行う必要があります。
司法書士はできないこともある
司法書士の債務整理費用は弁護士と比べると安いと言われています。しかし、浪費やギャンブルなどが原因で借金問題を解決する場合注意しなければならない点があります。それは管財事件と呼ばれている、借金の原因が浪費もしくはギャンブルの場合、20万円以上の財産を持つ時には予納金が50万円程必要になる点です。弁護士の場合は少額管財が適用されるので予納金は20万円程度で抑えられるなどの違いがあります。また、司法書士は1社当たりの債務額が140万円を超えると着手することができないルールがありますので注意しなければなりません。元々、司法書士は不動産や会社の設立登記などの書類作成および申請業務の代理人をつとめることができる仕業資格で、借金問題の解決は主な業務ではありませんでした。2002年の司法制度改正により、簡裁訴訟代理等関係業務規定が設けられ、一定の業務範囲内であれば債務整理の依頼人をつとめることが可能になっているのが特徴です。その反面、弁護士と同じような債務整理はできないのが特徴であり、自己破産の手続きも司法書士に依頼はできても、債務者の負担は多くなるのです。
任意整理なら交渉も可能です
司法書士には140万円のボーダーラインがあること、自己破産や個人再生などの裁判所の手続きは書類作成までなどの業務範囲が設けてあります。債務整理の相談を行った時に任意整理が有力な方法などの判断が下された場合、1社の債務が140万以下であれば弁護士よりも費用を抑えて債務整理ができますが、これを超えてしまうと弁護士に依頼した方が良いケースもあります。そのため、司法書士にお願いするパターンとしては債務整理を行う借金が140万円を超えていない、手法として任意整理が最適となったケースになります。債務額はどうすることもできませんが、自己破産の手続きも債務者が色々と動くことができる場合には司法書士に依頼ができますが、裁判所への申し立てや債権者集会などハードルが高いなどからも弁護士への依頼が一派的です。ちなみに、司法書士の中には任意整理を得意にしているケースもあります。任意整理は債権者と交渉を行いながら減額を目的とする債務整理で、交渉力がある司法書士なら弁護士よりも費用を抑えて借金問題を解決できるケースもあるので比較をしておくと良いのではないでしょうか。
管財人事件とは何か?
自己破産の申し立て後には同時廃止になるケース、管財人事件になるケースの2つのケースがあります。管財人事件は簡単に言うと破産管財人が専任される自己破産の手続きです。手続きかかる日数は同時廃止よりも管財人事件の方が長くなります。
自己破産の手続きで残せるもの
自己破産は全てを取られてしまう、このようなイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。しかし、全てを失うと翌日からの生活はどのようになるのか不安に感じる人も多いと言えます。おそらく住む家も取られてしまう、現金も根こそぎ取られてしまえば食事もできない最悪のひびが訪れることになりかねません。自己破産は破産法の法律を利用して行う債務整理で、自由財産の保護が行われているのが特徴です。一般的には20万円以下の価値を持つもの、99万円以下の現金はそのまま保有し続けることができます。20万円以下の価値を持つオートバイや自動車、宝石類などはそのまま保有しておけることになるわけです。管財人事件の場合は破産管財人が保有しているものについての調査を行いますので、残せるものと処分しなければならないものが決まりますが、同時廃止の場合は基本的には換価価値を持つ財産を保有していない場合の自己破産です。また、自己破産の中には自由財産の範囲を拡張することができる制度を利用することもできます。尚、これは申し立てを行うことで破産管財人が判断して、含めるべきか否かの決定権を持つのが特徴です。
自己破産の手続きで残せないもの
自己破産の手続き自由財産は手元に置いておけますが、不動産などの場合は時価20万円以下で収まるわけではありませんので、残すことはできません。ちなみに、個人再生は自己破産と同じく裁判所を利用する債務整理ですが、個人再生の場合はマイホームを残した状態で借金問題を解決できるのが特徴です。再生計画を立案して、裁判所が計画内容を確認して受領した場合に限り手続きができるようになります。借金を大幅に減額できるのが特徴ですが、減額後の借金返済が残りますので、返済能力が必要になるなどの自己破産とは異なる性質を持ちます。自己破産の時に残せるものは、主に自由財産に含まれるものだけ、それ以外は基本的には残すことができません。しかし、重度の疾患を持つ人が加入している満期型の生命保険、足が不自由な人が利用する自動車や車いすなどは処分されてしまうと生活ができなくなる恐れがあります。特に生命保険は健康な人が加入できるものですから、重度の疾患を持つ人は二度と生命保険への加入ができなくなる恐れがあります。そのため、自己破産の特例として認めて貰える財産もあるのが特徴です。
自己破産の免責とは何か
自己破産は免責許可が下りることで債務すべてがなくなる仕組みを持ちます。免責は簡単に言うと破産の手続きを完了させるなどの意味を持つものです。これに対して免責不許可事由は破産の手続きが差し戻しされる、手続きができなくなる意味になります。
自己破産処理の判断基準とは
自己破産の処理基準は裁判所により異なると言います。例えば、こちらの裁判所では同時廃止になるけれども、別の裁判所では管財人事件として取り扱われることがあるなどの違いがあるのです。しかしながら、自己破産の申し立てを行う側は裁判所を自由に選ぶことができるわけでなく、住まいの住所を管轄している地方裁判所に申し立てを行うため、そのエリアに合う対策が必要になって来ます。尚、自己破産の手続きの中でも同時廃止は短期間で判決が下される、破産手続きを完了できるメリットがあるなどからも費用面においても少ないメリットもあります。但し、換価する価値を持つ財産を保有している、特に不動産を所有している場合には同時廃止になることはありません。仮に、調査具十分とされてしまう、免責許可のための観察が必要と判断された場合、本来支払う必要がなかった予納金を納めなければならないケースもゼロとは言い切れません。弁護士の中でも自己破産の債務整理実績を多く持つ人に依頼をすることは、破産管財人の選任を少しでも避ける効果に繋げることができます。さらに、弁護士が申し立てまでの準備期間の中で、債務者に携わっている場合、その報告で観察は十分と判断が行われることもあるのです。
同時廃止を判断する基準とは
同時廃止を判断する基準の中で最も重要となるのは破産管財人を選任する必要があるのか否かです。裁判所が管財人を選任させる必要であると判断されるとそれは管財事件になります。逆に必要がないと判断されると同時廃止事件で処理されることになります。同時廃止は、破産管財人の業務が必要であるのか否かで判断が行われるのが特徴です。破産管財人は財産の調査および管理、財産の換価および弁済、そして破産の成立が下されるまでの破産者の観察を主な業務です。免責不許可事由がある時、破産管財人が免責許可を下すのが適切か否かを観察する裁判所もあるようです。免責不許可事由は借金の理由が過剰なギャンブルもしくはショッピング、特定の相手にだけ返済を続ける偏波弁済などの場合、許可を下すのが妥当ではないと判断される事由を意味します。但し、裁判官の裁量により裁量免責で借金が免除されるケースが多いのです。これは破産管財人が破産者申立者を観察してジャッジを行うのが特徴で、面接により実施することもありますし、収支表を提出させて確認をしたり、他に隠している借金や財産がないかなどの調査を行います。
まとめ
同時廃止は破産手続き開始後、破産管財人を選任することなく破産の免責を下すやり方です。自己破産の負担を軽減できるなどのメリットもありますが、裁判所に応じて判断基準が異なるため、申し立てを行う裁判所の特性を掴むことが大切、経験豊富な弁護士に債務整理を依頼すことがポイントです。