自己破産のデメリットを知ることで変な不安を解消できる

自己破産をすると全てが終わるという印象を持つ人が多くいますが、実際にすべてが終わるということはありません。ここでは自己破産をする場合のデメリットについて詳しく解説していきますので、これを読んだ上で自己破産について理解を深めてください。

数年間は何らかの制限を受ける

自己破産を申請する場合には、数年間は何らかの制限を受けることになります。金融取引においてブラックリストに掲載されている5年から10年程度はローンの申し込みができません。また、申請してから一定期間は復権するまで資格や職業が制限されます。

新たな借り入れができない

自己破産するとその情報が個人信用情報機関に登録されます。個人信用情報機関に登録されることにより、自己破産したという事実が共有されますので、クレジットカードや各種ローンの新規申し込みなどができなくなります。家賃保証会社が金融機関系であれば、賃貸物件の入居審査にも影響が出るでしょう。

自己破産をしたら一生新たな借り入れができないのかと言うとそういうわけではありません。ある一定の期間が経過したら自動で削除するという仕組みになっています。他の債務整理の方法に比べて、自己破産は金融事故の中でも大きな部類に入りますので、一番重いと言ってもいいです。免責決定より5年から10年程度で抹消されます。特に銀行系のローンを申し込む時には10年を覚悟する必要があります。ブラックリストから抹消されれば、今まで取引をしていない他の金融機関に借り入れをすることもできるわけです。

ブラックリストに掲載されるから、新たな借り入れができないというのは、別に自己破産だけに適用されることではありません。別の債務整理のやり方でも同様にブラックリストに掲載されるわけです。他の債務整理のやり方と何が違うのかと言うと、多少ブラックリストの掲載期間が長いだけです。

資格や職業が制限される

自己破産をすることによって資格や職業が制限されるということが起きます。自己破産の手続きを開始してから免責決定が確定するまでの間は資格制限を受けるということです。この間と言うのは手続きによって異なりますが、大体3か月から6か月ぐらいになります。

具体的に制限される資格や職業は弁護士や司法書士、税理士、行政書士などの士業や宅地建物取引業者、警備員、建設業者、旅行業者などが該当します。資格制限を受けるというのは、試験を受験することができないことがありますし、仕事に就くことができないことも該当します。そうは言っても、合格したことまで取り消されませんので、復権を得ることができれば、試験を受験することも、仕事に就くことも可能です。

復権を得るために一番手っ取り早い方法が、免責許可が出ることです。免責不許可が出た場合は、個人再生を申し立てて再生計画の認可を得るか、債務をすべて返済することで破産手続きが完了する、そのまま10年が経過するという3つのパターンの中から選択するしかありません。どのパターンにしても一生資格を使って仕事をすることができないということでは無いです。

保有する財産が清算される

自己破産を申請すると、保有している財産により清算されるということが十分にあり得ます。不動産など時価で20万円以上の財産は、自由財産の拡張によって認められたもの以外清算の対象です。ただ、自由財産については清算の対象外に該当します。

認められている自由財産がある

自己破産をしたら生活することすらできないと思っている人がいますが、実際にはそんなことは一切ありません。家財道具などすべて没収されるということはありませんので、そこのところは安心してください。なぜこんなことが言えるのかと言うと、自己破産には自由財産と言って、処分しなくてもいいものがあるからです。

自由財産として認められているものは5つあります。1つ目は99万円以下の現金で、直近の生活に困らないように現金をある一定度合いの範囲で所持を認めているわけです。2つ目は自己破産申請後に得られた資産のことです。自己破産申請後に得た給料などは生活困窮の恐れがあるために保有を認めています。

3つ目は差し押さえ禁止財産です。自己破産をしたからと言って、家財道具など生活に必要なものまで差し押さえることはできないということです。4つ目は自由財産拡張申立により保有が認められたもので、やむを得ない事情で裁判所から認められたものは自由財産扱いになります。5つ目は破産管財人が換価を放棄した資産です。金銭的価値がつかないなど処分をすることができないものが該当します。

20万円以上の財産は清算対象

ただ、自由財産の範囲を超えており、拡張することを認められない所有物はとても多いと言ってもいいです。要するに、すべての所有物を残したまま自己破産をすることはできないです。どういうものを特に残したいのかによっては、自己破産ではなく別の債務整理の方法を選択する必要があります。

自己破産の場合は時価で20万円以上の資産を保有することが原則としてできないため、手続きの過程で破産管財人が換価作業を行います。不動産を持っているのであれば、時価で20万円以上は確実なため、売却などの換価作業が行われるということです。預貯金と不動産だけでなく、有価証券や生命保険の解約返戻金、退職金、自動車、小切手なども時価で20万円以上あれば処分の対象になります。別の言い方をすれば、時価で20万円未満の財産であれば、そのまま保有し続けることが可能です。

もしかすると、自分たちで高額な資産を売却しようと思うかもしれませんが、自己破産を申請するのならば絶対に止めておきましょう。もし勝手に売却したとしても、否認権が行使されて無効になります。この行為により免責不許可事由に当たり、自己破産が認められないということもあり得ます。

免責不許可になる場合もあり得る

自己破産を申請した時に、免責許可に該当するケースは多いですが、必ずしも認められることではない点に注意してください。特に、支払不能だと認めなかったケースと免責不許可事由に該当するケースについては免責許可に該当しないこともあります。

必ず認められるというわけでない

自己破産は裁判所に申請すれば必ず認められるのかと言うと、そういうわけでは無いということに注意してください。自己破産が認められないとなると、借金地獄から抜け出すことができないので、別の方法を検討することになるでしょう。

自己破産を申請をして免責になれば借金がチャラになりますが、免責にならない場合が2つあります。1つ目は支払不能であることを裁判所が認めなかったケースです。支払不能とは、滞納している借金を利息分を免除したとしても、継続的に弁済することができない状態のことを言います。継続的とは大体3年程度のことを言うことが多いです。つまり、滞納していたとしても、3年以内で返済することができるのであれば、支払不能だと認められないことになります。

2つ目は免責不許可事由に該当することです。借金の原因がギャンブルや浪費、投資などの場合や意図的な財産隠しをした場合、クレジットカード現金化をした場合、裁判所に対して虚偽回答をした場合、過去7年以内に自己破産をした場合など様々あります。これらの免責不許可事由に該当する場合は、自己破産が認められない可能性があるということです。

免責不許可事由でも免責の可能性

実際に免責不許可事由に該当する場合であっても、免責許可と言う決定が下ることも十分にあり得ます。そのため、マイナスなことに該当しているからと言って、別にあきらめる必要は無く、普通に自己破産申請をするといいです。

なぜあきらめる必要がないのかというと、裁判官には裁量免責と言って、たとえ免責が不許可になる事由に該当していたとしても、裁量によって免責許可にすることができるからです。それに該当するということは決していいことではありませんが、その後しっかりと反省して手続きに臨んでいるという風に見えるのであれば、裁量により免責許可を勝ち取れることも十分にあります。

自己破産は大抵の場合で認められる結果になっています。平成23年の統計資料によると自己破産の申請をして免責許可を受けた人の割合は97.4%に対して、免責不許可を受けた人の割合は0.16%、取り下げや却下を受けた人の割合は2.3%です。免責不許可になっている人は意外と少ないことがわかりますが、裁判所が取り下げを指示したり、別の債務整理の方法を提案したりすることもありますので、実際は2.5%程度が自己破産が認められない可能性があるということです。

自己破産のその他のデメリットは

自己破産の別のデメリットとして、官報に掲載されることがありますが、それを入念に見ている人は限られた人に過ぎません。心理的にマイナスな印象を受けることもありますが、不利益なことに比べると利点の方がとても大きいです。

官報に掲載されることで知れ渡る

自己破産をすることによって、政府が発行している官報に氏名や住所が掲載されます。個人情報の侵害ではないかと思うかもしれませんが、これは止められることではありません。いつだれが官報を見るとも限りませんので、周りに知られることなく自己破産をすることは現実的にできないことになります。

しかし、実際に官報を見ている人はとても少ないのが現状です。役所や省庁、法律事務所に置いてありますし、ネットで閲覧が可能ですが、興味を持って閲覧する人は少ないです。そういう事情がありますので、よっぽどのことがない限り、周りに知られる可能性は低いでしょう。

たとえ、官報を目にしたとしても、一般の人が知り合いの自己破産者の情報について探し当てることは難しいです。確かに最終章に記載されてはいますが、分かりやすく書かれているわけではありませんので、意識的に探さない限り見つけることはできないということです。

ただ注意してほしいのが、氏名と住所が掲載されるわけですので、闇金からDMが来ることがあります。DMにつられて闇金からお金を借りることになれば、大問題になりかねません。絶対に闇金からお金を借りないようにしてください。

人生が終わってしまうことは無い

自己破産の数々のデメリットを見てきて分かることは、免責になるメリットに比べるとデメリットははるかに小さいということです。特に人生が終わってしまうということはあり得ないです。いろいろと不安を感じることは分かりますが、デメリットについて一つ一つ知ることによって不安を解消することに繋がります。

もしかすると、自己破産をすることによる周りの人の目が気になるということもあるかもしれませんが、周りの人が官報を呼んでいるということは可能性として圧倒的に低いです。だから、自分からそういう話題をしなければ何ら問題はありませんし、人生が全て終わるということもないです。

自己破産をすることで信用を無くす可能性が無いとは言い切れません。ただ、世間体を気にしすぎて自己破産を選択しないという選択はあり得ないです。自己破産のメリットを享受すること無く、粛々と返済を続けるというのもつらい選択になります。

マイナスイメージと言う印象を受けるのは仕方がないことかもしれませんが、新たにスタートを切るためのきっかけにすることもできます。再スタートを切って心理的に楽にした上で、新しいことをやるのも悪くありません。

まとめ

自己破産のデメリットとして、新たな借り入れができないとか、時価20万円以上の財産が清算処分される、一定期間特定の資格や職業に就けないなどがあります。どのデメリットにしても一生生活が終わるということではありません安心してください。

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