自己破産した後の暮らしはどうなるのかをわかりやすく

自己破産にはこれまでの債務をゼロか、大幅に縮減できると言う大きな利点があります。しかし反動も大きく、色々なデメリットが生じてくるのは避けられません。安易に行うと後悔に繋がるため、自己破産後はどうなるのをチェックして、慎重に判断していきましょう。

債務関係は整理され財産も残る

自己破産を終えると通常は債務負担が大きく減らせることができます。更に一定の財産も手元に残すことが可能となっています。生活に必要なものとしてテレビなども含まれます。残念がらマイホームを残すことは期待できませんが、賃貸借物件は可能性があります。

減る債務と減らない債務

免責を受けた債務は無事に消える。
自己破産をした後は当初の目的通り、債務関係は大きく縮減できるのが一般的となります。一般的と言うのは普通は借金などの比較的消えやすい債務によって、収支が苦しくなっていることが多いため、手続きを終えるとその分の負担が減ることになるためです。逆に例外的なケースとしては、免責にならない部分が多いと、余り効果は生じてきません。つまり免責の許可を受けられる部分が多いかどうかで、自己破産後の事情は変わってくることになります。
この許可受けると強制執行を免れる効果が生じ、税金の滞納処分もストップします。このために夜逃げであったりと、リスクの高い方法を選ばずに済むようになるのが、手続き後に生じるメリットでしょう。

免責を受けられない債務は残る。
許可に関しては条件が設定されており、これを満たすと借金などが消えますが、残念ながら全てのもので認められるわけではありません。非免責債権と呼ばれる元々から自己破産の効力が及ばない部分があります。後はクレジットカードの現金化などをしていると、これが不許可事由に該当し、消えるはずの借金が消えない場合も
でてきかねません。

残る財産がいくらかある

生活に必須の最低限の財産は残る。
自己破産をすると換金できるような財産は、多くが持っていかれてしまいます。これは債権者は債務者の財産から多少なりとも貸付金を回収するためです。ただし怖い職業の人がやるように、一切合財を巻き上げるようなことはしません。生活に必要な限度では、財産が残ってきます。
具体的には99万円までの現金や差し押さえ禁止対象のものです。差し押さえ禁止のものは、家電や仏壇などが含まれます。テレビやラジオも一定までなら残せます。

携帯・スマホはどうなるのか。
これらに関しては生活に欠かせないと見られるので、手元に残すことも可能です。ただし高価な機種であったりすると、ローンが残っていると思います。この場合では残せない可能性があるので、事前に完済するか安いモデルを買っておくとようでしょう。

マイホームは残らないが賃貸物件は微妙。
持ち家の場合は残念ながら、ほぼ諦めざるを得ません。問題は賃貸借物件の方で、こちらは敷金が持っていかれるため、解約の可能性が高いですが残る場合もあります。この辺りは地方自治体の条例などによっても変わってくるので、ケースバイケースの検討が必要な部分です。

経済面では制約が生じる

自己破産終了後には経済的に色々な制約が生じます。生活必需品や一定の家電などは残りますが、マイホームは諦めざるを得ません。他にも借金やクレジットカードの発行も難しくなる他、職業に関しても制約が出てきます。

経済面でできなくなること

自己破産後には金絡みの制約が多い。
自己破産をすると債権者には大きな迷惑がかかることもあり、以後の生活では金絡みの制約は増えてきます。流石に自己破産をした直後に、また債務超過に陥るようなことがあれば、これは信義にもとると考えられるからです。

新たな借金はほぼ不可能になる。
実際には不可能ではないものの、極めて難しい状態になると考えて良いでしょう。ブラックリストに掲載されることになるため、真っ当な金融機関は審査を通す可能性は極めて低いかゼロです。このために闇金に走る方もいるのですが、これをやってしまうと後処理は難しくなるので避けましょう。ほぼ返済不可能になるものの、再度の免責にはならない可能性が高いです。

クレジットカードも持てないのが普通。
買い物に便利なクレジットカードも、持てないことが多いです。自己破産をした後にも、やはり借金を繰り返す方はままあるのですが、このような事情があるのでカードを発行するのはリスクが高いと考えられています。

ローンを組むことも難しくなる。
ローンもいわば借金の変則的な形態ですから、これを組むことは極めて難しいです。このために数年間は、マイホームを持ちたいと思っても、我慢が必要でしょう。

その他の経済的な制約

一定の仕事には就けなくなる。
法律関係や士業関係の職業の場合は制約が生じてきます。一例を挙げると弁護士や司法書士、各種の後見人などがこれに該当するので、これらの職業の方は注意が必要です。他には宅建業者や貸金業者、警備員なども当てはまります。
生命保険募集人も仕事に就けなくなる可能性はありますが、続けられる場合もあるようです。

住居の移転が自由にはできなくなる場合がある。
当然ですが住居を勝手に移せるとなると困るので、ここでも制限が生じてくることがあります。まず破産管財事件の方は、住居移転は自由にはできなくなると考えて良いでしょう。同時廃止事件の場合には、引っ越しは任意に行えますが、その結果を裁判所に申告することが求められます。

再度の自己破産が制限される。
自己破産をした後に再び資金繰りが悪化することがままありますが、この場合ではもう一度、同じ手続きを行うことは難しくなります。何度も自己破産すれば良いと考えて手続きを乱発されるのを防ぐためでしょう。したがって免責を受けた後の金策については、これまでよりも慎重に考えることが大切と言えそうです。

家族や周囲の人間への影響

まず家族への影響は限定的で、配偶者や子供の資産が差し押さえられたり、学校に通えなくなるような心配は、基本的にはありません。会社への影響も出ないことも多いです。ただし連帯保証人への影響は甚大ですので気をつけましょう。

家族への影響は限定的

本人以外には余り関係がない。
心配になるのが自己破産をした後、配偶者や子供に影響が及ぶのではと言う点かもしれません。しかし実際には本人以外の家族には、あまり影響がでないことが一般的です。配偶者も連帯保証人になっているような事情がなければ、特に問題は生じてきません。妻・夫単独名義の財産が差し押さえられるリスクもないでしょう。同様に子供にもほぼ影響はなく、これまで通りに学校に通い子供名義の財産が持っていかれる心配もありません。学費に関しては問題が生じると思いますが、ここは子ども自身が奨学金を利用したり、各種の公的制度を利用することを検討してみましょう。

養育費も無くならない。
家族にはあまり影響がないのが特徴ですが、これは離婚した後の子供への養育費に関してもあてはまります。この債務に関しては非免責債権となっており、自己破産したからと言って消滅することはありません。また養育費を受け取る側が自己破産するケースもありますが、この場合は2分の1までは差し押さえられる可能性がありますが、残りの部分は受け取ることができます。この辺りは個別的に対応することで、全額受け取れるように工夫することもできるでしょう。

勤務先や連帯保証人には影響が

勤務先には影響がないことが多いが問題が生じることも。
一定の職業でなければ自己破産をしても問題が生じる可能性は高くはありません。裁判所から職場に通達があったりすることもなく、官報も見る機会が多いわけではありませんから、自己破産をしても今までと変わりなく就業している方も普通に見当たります。
しかし問題は会社で役員に就いていた時です。ここで言う役員は会社が決めたポストではなく、会社法上の規定によります。例えば取締役に就いていた方が自己破産をすると、その資格を失うことになります。
逆に自己破産をした者を取締役に専任しても、これは問題がありません。例えば会社が株主総会で選ぶわけですすから、会社の意思としてそのような人物を相応しいと考えるなら、それで良いと言うことです。

連帯保証人への影響は大きい。
連帯保証人のリスクが大きい理由は、債務者本人と同様の責任が課せられる点にあります。このために本人が自己破産をすると、元々の債務者の負担を丸々代わりに引き受けることになりえるのです。したがって連帯保証人の方でも対処しきれず、自己破産が連鎖する可能性も高いです。

信用面での制約について

自己破産をした後には信用面の問題として、官報とブラックリストへの掲載が挙げられます。前者は対して問題にならないことが多いですが、後者は大きな影響がでることもしばしば。ただし一旦掲載されても、一定期間の経過で消滅するので永遠に問題が続くわけではありません。

官報への掲載は影響が小さい

官報に掲載される内容と回数。
自己破産をした場合には官報に、破産者の氏名や住所の他に手続きをした裁判所などが記載されます。回数に関しては破産申し立て時に一回と、免責が受けられた場合に一回。合計二回まで掲載されることがありますが、kろえは毎日発行されているので、たった二回の掲載で誰かに見られる可能性は高くはありません。

官報への掲載は影響が限定的。
まず自己破産をするとこれに載ってしまいますが、これに関しては影響は限定的な場合が大半です。そもそも官報と言うのは国の広報誌みたいなもので、法改正情報などが載っていますが、これを定期的に購読している方は多くありません。一部の特殊な職業の方ならいざ知らず、破産者の情報まで念入りにチェックしている方は滅多にいないでしょう。したがって自己破産した後はこれに載りますが、これの影響は余り心配がありません。載ったとしても会社にもバレず、今までどおりに暮らしている方もいるのです。
ただし厄介な問題として稀に闇金が悪用する場合があります。このために破産した後には、時たま怪しい会社から融資のお誘いがある場合もありますが、これには注意しましょう。

ブラックリストの影響とは

ブラックリストには掲載される。
債務整理をする場合には気になるブラックリスには、自己破産を選んだ時は掲載されます。ブラックリストに載ると、借金ができない・カードが作れない・ローンが組めない、と言うことが良く知られていますが、これは事実です。ブラックリストは信用情報機関が手がけている、いわば金融機関向けの情報提供サービスと言えます。金融機関はこの情報を元に、申請者に貸付などを行って大丈夫か否かを判断していくのですが、ここで少しでも問題があると審査に通らない可能性が出てくるわけです。この点で自己破産をすると少しの問題ではありませんから、やはり審査に通る可能性は期待できません。

家族がブラックリストに載った場合。
家族が載っても自身の信用に影響が出る心配はないでしょう。実際に夫が自己破産しても、妻はクレジットカードを持てたと言う実例もあります。

何時になったら消えるのか。
これはどの機関の情報かにもよって期間がことなるものの、5年か10年で消滅します。つまり自己破産した後には先10年間は、やや不便な暮らしを覚悟する必要があると言えるでしょう。

まとめ

自己破産した後に生活にどのような影響があるかを見てきました。思ったほど大したことにならない部分もあれば、大きな影響がでる面もあります。このために自己破産を考える場合には、他の個人再生や任意整理などと比較しながら、本当に相応しい方法かどうかを見極めることが大切と言えます。

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